昭和40年代の営林局機関誌から選んだ「名作50話」

このブログは、昭和40年代に全国の営林局が発行した機関誌の中から、現場での苦労話や楽しい出来事、懐かしい思い出話などを選りすぐり編纂したものです。

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

第7章 あの頃の思い出 第34話「金原明善翁の事績を聞く会の記録」

この金原明善翁に関する講演速記録は、水窪営林署の署長室の金庫に保管されていたものである。 金原明善の瀬尻植林事業に明治二十三年より業務主任として参画し、その後も、金原明善の片腕として活躍された鈴木信一さんが死去の前年(昭和十七年)に話された…

第7章 あの頃の思い出 第33話「森林鉄道」

明治中期の木材搬出は、特殊材以外は川を利用した管流しによったという。 木材を山元で割り、寸甫や穂太木に採材して、堰き止めた水と一緒に流し、下流に組んだ矢来に漂着させる方法だった。 また、冬季には人橇や馬橇によったが、明治四十年には仁鮒から軌…

第7章 あの頃の思い出 第32話「オホーツク海の回想(二)」

昭和十八年、施業案の編成で間宮海峡に面した樺太の泊居事業区に出張した。晴天に恵まれ、あと数日で概況調査が終わろうとした六月三〇日の黄昏時、下流の方からブウー、ブウーと熊よけのラッパ音が聞こえてきた。 戦争が次第に激しくなり、友人や同僚が次々…

第7章 あの頃の思い出 第32話「オホーツク海の回想(一)」

昭和四十年四月の異動で、オホーツク海に面した斜里営林署に勤務することとなった。 考えてみると、オホーツクの海は、私にとって切っても切れない糸で結ばれているように思えてならない。そこで、この思い出の糸をたどってみることにする。 昭和八年に学校…