昭和40年代の営林局機関誌から選んだ「名作50話」

このブログは、昭和40年代に全国の営林局が発行した機関誌の中から、現場での苦労話や楽しい出来事、懐かしい思い出話などを選りすぐり編纂したものです。

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

第9章 心に残る話 第48話「一級精勤賞を受賞して」

明治改元の記念すべき年に一級精勤賞受賞者の一人に名を連ね、代表として答辞を述べること、身に余る光栄である。 もう四十年も経たのであろうか、と余りにも短く感じられ、過ぎし日を振り返る。 時の担当区さんから、試験林の伐採方法が悪いとえらく叱られ…

第9章 心に残る話 第47話「東京便り」

知床の山奥から東京に出てきて、はや二年三ヶ月がたちました。ようやく仕事に慣れ、生活に慣れ、自分のペースで進むことが出来るようになりました。 しかし、北海道に生まれ十勝に育った僕には、帯広の水が一番適しているかも知れません。今でも一人になると…

第9章 心に残る話 第46話「外野席から」

昔から、「山官」という言葉があった。 誰がつけたか知らないが、山を守り木を育てる者の純朴な、また一歩ずつ踏みしめて行く地道さを端的に表した親しむべき愛称である。 山へ行けば空気もうまいし水も清らかで、本当に身も心も洗い清められる。この清純な…

第9章 心に残る話 第45話「白髪のモッコス老人」

私が署長として着任して間もないある日のこと。この地の篤林家で一徹ものと知られる老人から電話を受けた。 「署長さん、横道峠の造林地には、カヅラが巻き付いたままで二、三年放置されている所があるが、あれでは木がかわいそうだ。なんとかしてくれ」 意…