昭和40年代の営林局機関誌から選んだ「名作50話」

このブログは、昭和40年代に全国の営林局が発行した機関誌の中から、現場での苦労話や楽しい出来事、懐かしい思い出話などを選りすぐり編纂したものです。

第9章 心に残る話 第43話「俳句と短歌」

下刈の 夏帽並ぶ 大斜面

 

   太陽の日差しと草いきれ。緑の大斜面に、点となる白い日よけが一幅の絵となる。

 

山下りて 夏めく娘らの 胸豊か

 

   私のところの女子作業員も、あと三年も山で働く頃には第二の人生に出発する。娘たちとの別れは辛いが、幸あれと祝いたい。

 

女教師の 鍬振り上げて 植樹祭

 

   植林という作業を間近に感じ、実感を児童たちに教える努力には頭が下がる。

 

蕗伐るや 山刀(たしろ)滴る 蕗の水

   

   山官ならでは表現出来ない情景を、大胆にキャッチしている。

 

輪尺を しばし休ませ 解く雪輪

  

   雪の上の焚き火を囲んで食事をとるのであろう。

 

山官の 妻を望みて 嫁ぎくる 君は美林に まさる人なり

   

   結婚前に頂いた恋文に記されてありました。

 

団交を 終えて出づれば 天の川

   

   激動の一時期を、非力ながらもベストを尽くしたつもりである。

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