第9章 心に残る話 第43話「俳句と短歌」
下刈の 夏帽並ぶ 大斜面
太陽の日差しと草いきれ。緑の大斜面に、点となる白い日よけが一幅の絵となる。
山下りて 夏めく娘らの 胸豊か
私のところの女子作業員も、あと三年も山で働く頃には第二の人生に出発する。娘たちとの別れは辛いが、幸あれと祝いたい。
女教師の 鍬振り上げて 植樹祭
植林という作業を間近に感じ、実感を児童たちに教える努力には頭が下がる。
蕗伐るや 山刀(たしろ)滴る 蕗の水
山官ならでは表現出来ない情景を、大胆にキャッチしている。
輪尺を しばし休ませ 解く雪輪
雪の上の焚き火を囲んで食事をとるのであろう。
山官の 妻を望みて 嫁ぎくる 君は美林に まさる人なり
結婚前に頂いた恋文に記されてありました。
団交を 終えて出づれば 天の川
激動の一時期を、非力ながらもベストを尽くしたつもりである。