昭和40年代の営林局機関誌から選んだ「名作50話」

このブログは、昭和40年代に全国の営林局が発行した機関誌の中から、現場での苦労話や楽しい出来事、懐かしい思い出話などを選りすぐり編纂したものです。

第5章 女性から 第26話「男性職員への注文」

 つい先頃の婦人雑誌に「夫は妻に何を望み、妻は夫に何を望んでいるか」という記事がありましたが、男性が九割以上を占めている現在の職場で、職場の中でみる男性について私なりに観察し、注文をつけるとしたらどうでしょうか。

 

 毎朝、機械のように出勤して一日の仕事にとりかかり、何の変哲もないようにみられる生活の中に、男性は生涯の大半を過ごす訳ですから、考えてみれば本当にご苦労様と言いたい気持ちになります。

 主婦たるもの、せめて家庭が憩いの場となり、明日への活力を養う場であるように気を配りたいものです。家庭が安定してこそ明日に希望があり、職場の仕事に精魂を傾けられるからです。

 しかし、時々見受ける男性の中には、昨夜の麻雀の疲れか晩酌のやり過ごしでしょうか、赤い目をしながらお酒臭い息をはいている人もいます。そんな男性をみると、私生活の一面をみたようであまり感じが良くありません。

 少ない給料の中でやりくりに頭を悩ませ、せめて給料日ぐらいはと、晩酌をつけお膳を出して待っている主婦の心労を知ってか知らずか、給料袋からネオンの代金を失礼している男性もみられます。背信行為と意識してのことでしょうか、女性にとっては好感を持つことが出来ません。

 私が、職場で男性に心を打たれる時は、年齢を問わず仕事に打ち込んでいる姿です。何かしら近寄りがたい畏敬の念を感じることがあります。

 それと、仕事を一段落片づけて、ほっとタバコをくゆらせている姿にも、男性独特の安定感があります。

 そんな時のタバコはきっと美味しく感じるのであろうと、他人ながら眺めている時があります。

 

 職場のMさんは、四十代という年齢に似合わず、時には二十代のような若々しい声量で流行歌を唄ったりします。しかし、時には父親のような優しい感情をふっと感じさせることもあり、何かほのぼのとした人柄に触れることがあります。

 家庭にあっても、きっと良いご主人であり、やさしいパパなのでしょう。

 生意気な言い方かも知れませんが、何事にも労力を惜しまず、ファイトを持っている男性に女性は心を惹かれ、尊敬するのです。

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