昭和40年代の営林局機関誌から選んだ「名作50話」

このブログは、昭和40年代に全国の営林局が発行した機関誌の中から、現場での苦労話や楽しい出来事、懐かしい思い出話などを選りすぐり編纂したものです。

第2章 営林局から 第13話「林業体操」

午後三時きっかり。

 スピーカーから林業体操前奏曲の軽快なメロディが流れてくる。皆が一斉にペンや計算機を置いて立ち上がる。そこで聞き覚えのある局福利厚生課課長補佐の田畑さんの声が入ってくる。

 「さあ、元気で林業体操を始めましょう」

 続いてあまり歯切れは良くないが、そのため、かえって親しみのある塩谷先生の号令。

 実に気持ちがいい。爽快だ。みんな熱心にやっている。

 右を見ても、左を見ても、みんな元気にやってる、やってる。

 

業間体操は、今までも厚生課として実施を考えてきたようであるが、今回、健康の維持増進、作業の安全確保・能率向上を狙いとして全面的に取り入れ、林業体操として普及することとなった。

この体操は、始めてからまだひと月にしかならないが、年輩の人にも女子職員にも喜んで受け入れられている。その理由は何だろうか。

 第一は、丁度、気分転換を必要とする時間にタイミングよく行われることである。難しい仕事に頭を抱え一服したくなる人、単調な事務に飽きた人など、軽い体操ですっきりした気分になる。

第二は、林業体操は誰でも出来るやさしいものだからである。塩谷先生が言うとおり、体操の基本は「まげる・のばす・まわす」の三つであるが、この動作が上手く組み合わさっている。

 第三は、所要時間が二分三十秒とちょうど手頃なことである。

 

こんな短い時間で、気分が爽快になり健康に大変良くなった。

 局内での会合でも、あのメロディが流れると

 「まず体操をやろう」

ということで、ワイシャツ姿となって気分を一新し、また、仕事に戻るという姿がしばしば見受けられるようになった。

 体調を整え、ある程度体力に自信を持つことが出来るのも、林業体操のおかげだと思っている。

 

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