昭和40年代の営林局機関誌から選んだ「名作50話」

このブログは、昭和40年代に全国の営林局が発行した機関誌の中から、現場での苦労話や楽しい出来事、懐かしい思い出話などを選りすぐり編纂したものです。

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

第6章 地元と国有林 第29話「山の神」

山の神を祭る日取りは、必ずしも定まっていない。正月には初山、二月は春の山祭り、十二月は秋の山神祭が取り行われてきたが、いつのまにか大方の祭事が省かれ、今では事業に着手するときに入山式、終了したときに下山式が行われるに過ぎない。 入山式には鹿…

第6章 地元と国有林 第28話「初雪の木曽谷」

「管理官の急用は、いつも深夜の電話から始まる」 木曽谷の駐在とは会う度毎にこう言われる。本当に申し訳ないと思うが、田島から奧、八百余人の大世帯を世話しているのは営林署の事業用電話しかない。このため、事故が起きるとこうして駐在に電話をかける訳…

第6章 地元と国有林 第27話「ドブロク」

毎年、年の瀬もおしつまる十二月十五日は、村の若い衆が一番心待ちにしている恒例の行事がある。村の家々から集められた米で作ったドブロクを、皆が集まり飲むのである。 もう十七、八年前の話ではっきりとは覚えていないが、私は村の何か役員をやっており、…

第5章 女性から 第26話「男性職員への注文」

つい先頃の婦人雑誌に「夫は妻に何を望み、妻は夫に何を望んでいるか」という記事がありましたが、男性が九割以上を占めている現在の職場で、職場の中でみる男性について私なりに観察し、注文をつけるとしたらどうでしょうか。 毎朝、機械のように出勤して一…

第5章 女性から 第25話「主婦の随想『十二年のくらし』」

「お父さん、もう土岐のやまには、どこにも仕事をするところがないの?」 「うん」 「じゃあ、土岐はすっかり緑になってしまったのね」 「うん、そうらしいな」 「それじゃ、いままで現場で働いていた人たちは、これからどうなさるの?」 「・・・」 これは…