五時三十分に雨戸を開ける。家の前には標高四百メートルの前岳国有林。 その頂きには朝日が当たり、空は青く澄んで雲ひとつない。 今日で何日、雨が降らないのであろうか。 慌ただしく朝食を済ますと車に飛び乗り、作業現場へと急ぐ。林道の終点から、谷川に…
昭和二七年十月。当時私は、鳥取営林署管内の霧ヶ滝森林鉄道敷設工事の監督補助員として、主任と共に現場近くの山小屋に起居していた。 バスの終点である田中部落から二キロ奧に貯木場があり、そこから森林鉄道で再び二キロ上がった川向かいにその山小屋があ…
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